屋根の葺き替えって、一体いくら掛かるんだろうか?やっぱり、知り合いの業者に依頼したほうがいいのかな?それとも大きな会社がいいのかな?と悩まれていませんか?
実は葺き替え費用ってピンキリですし、相場もあってないようなものなんですよ。それに葺き替え時期もある程度自己判断できるんですよ。しかし、そのためには屋根の基礎知識が必要なのです。
そこで、今回は基本的な屋根葺き替え工事とそれにかかる費用目安、葺き替え時期の見極め方を丁寧に説明したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
葺き替えとは
建築用語の1つで、もともとある古い屋根材をすべて撤去し 新しい屋根材に替えることを言います。主な葺き替えパターンは下記の5つがあります。
日本瓦 → 日本瓦
日本瓦 → スレート
スレート → スレート
スレート → ガルバリウム鋼板
トタン → ガルバリウム鋼板
どの葺き替えパターンがベストなのか?
今まで一番多かった葺き替えパターンは、日本瓦→スレートへの葺き替えであったが、これからは、ガルバリウム鋼板への葺き替え工事が増加してくると推測できます。
ガルバリウム鋼板への葺き替えがベストです。
ガルバリウム鋼板がベストな理由
飛躍的な防錆性の向上とその価格です。一昔前までのトタン屋根は、数年経過ですぐに出てくる錆が、一番の欠点でした。見た目も悪く腐食によって穴が開くことが多かった。
一方、防錆性がより優れているステンレス屋根は、非常に高価で一般住宅の屋根材としては、現在でもほとんど普及していない。
また震災の影響もあり、屋根材の軽量化という観点からもガルバリウム鋼板への葺き替え工事がベストの選択と思われます。※メーカー保障が10年で施工保証ではありません。
金属屋根はどうしても抵抗がある方へ
金属屋根と聞くと、どうしても「錆びやすい」「格好悪い」「雨音が大きい」「夏に暑い」とのイメージが、あるのではないでしょうか。「錆び」については、少しは軽減されたのでないでしょうか。
しかし「格好悪い」についても、間違ったイメージだと断言します。実は、プロの我々でさえ、屋根に上るまで、ガルバリウム鋼板だと気付かないこともあります。
見た目は、スレートに瓜二つでした。最近のガルバリウム鋼板は、様々なデザインがあり、「格好悪い」ことはありませんので、安心してください。
「雨音が大きい」「夏に暑い」やその他の利点・欠点に関しては「誰でも分かる!ガルバリウム鋼板屋根のメリットとデメリット」の記事をご覧ください。
屋根の葺き替え時期
一般的には、次の年数経過で葺き替えるべきだといわれています。(手入れが一切ない場合)屋根が下記写真のような状態でしたら、葺き替えを検討され始めることをおススメします。
【スレート】10~15年
【日本瓦】25~30年
【トタン屋根】6~10年
上記内容はあくまでも屋根業者が宣伝文句としていっているに過ぎません。
本当の屋根葺き替え時期は自己チェックしかない
あたかも「屋根材の寿命だから仕方がないですよね」というスタンスでありますが、実は屋根業者自身の懐を暖めるためにホームページで告知したり、あなたに声を掛けているのです。まさに営業テクニックの常套手段です。
やはり、一番合理的に屋根の葺き替え時期を知るには、自分でチェックするという手間は省けません。手間を一切掛けず、最も効率的な時期に葺き替えできるなんて事は、世の中にはありません。(もし、あるなら私に教えてください!)
もし、あなたが手間を掛けてもいいので、一番安く葺き替えをしたいとお考えなら、下記のチェックリストを参考してください。
自分でもできる葺き替え時期チェックリスト
この項目では、素人でも確認しやすい屋根の葺き替え時期のチェックリス10個をお伝えしています。
スレートに多数ひび割れがある
屋根が白っぽく色あせている(チョーキング現象)
築15年以上全く手入れしていない
天井に雨染みの跡がある
雨が降ると翌日晴れなのに室内が湿気っぽい
屋根にコケやカビが生えて緑や黒っぽくなっている
トタン屋根全体が赤っぽく錆びている
あちこちで雨漏りしている。ポタポタと雨音がする
風が吹くと屋根の上で異音がする
瓦全体が不揃いである
5つ以上当てはまるようなら、半年以内に屋根の葺き替えをする必要があります。4つ~3つは、来たるべき葺き替え工事に備えましょう。2つ以下であれば、該当箇所の修理で十分でしょう。
葺き替え工事のメリット・デメリット
全部新しい屋根材になるというと、全てが良くなると思われますが、現実はそうではありません。それでは、屋根葺き替えのメリット・デメリットをお伝えしますね。
葺き替え工事のメリット
寿命が延びる
基本的には、下地を含む屋根材をすべて新しいものに替えるわけですから、屋根が新築になったのと同じです。生き物に例えると生まれ変わったわけですから、当然寿命が延びます。
地震に強くなる
最近のほとんどの屋根材は、昔に比べて性能がアップし、軽量化されています。施工方法も新技術の開発で随分簡素化されていて、これもまた軽量化されています。
屋根が軽くなると、地震に強くなります。その理由は、屋根が軽くなると、住宅全体の重みの中心が低くなり、振り子の原理で地震に対して揺れが小さくなるからです。
信用のできる優良業者に依頼すれば、時間は掛かりますが、その他の屋根塗装や屋根修理と比べものにならないぐらいのメリットが手に入ります。
そのメリットとは、例えば長期の雨漏り保障だったり、見た目の綺麗さだったり、メンテナンスも当分不要です。
葺き替え工事のデメリット
出費が増える
屋根塗装や屋根修理に比べて、屋根材を全部やりかえるので、材料費が高くなるのは、想像に難しくないでしょう。
それに既存の屋根材を処分しなければならないので、その費用も掛かります。また工事期間も長くなるため、職人の人件費も当然、その分増加します。
ご近所迷惑の懸念
既存の屋根材を処分するとき、業者よっては屋根からゴミ箱に投げ込みこともあります。そうすれば当然、破片がご近所まで飛んでしまうこともあります。
電動はしごで屋根材を丁寧に降ろしたとしても、細かなホコリはどうしても舞ってしまいます。それが原因でお隣とトラブルになることがあるようです。
特にご近所の自動車に関しては、駐車位置によってはビニールカバーを被せるのではなく、コインパーキング等へ移動していただいたほうがいいです。
通常は、業者が駐車料金を負担しますが、自費の場合でも必ず、自動車を移動させることをおススメいたします。ご近所とトラブルになってしまったら、お金で解決できないほうが多いのです。
屋根葺き替えの費用目安
屋根の葺き替え費用は、葺き替えパターンによって異なり、また葺き替える屋根材の種類や屋根の広さ、形状によっても様々であり、さらに業者による価格の決め方も違うため、ピンキリです。
そのため実勢価格を指す相場もケースがありすぎて、表記が不可能です。
それでは何の説明にもならないので、ここでは1000軒以上の屋根修理を行なった経験をもとに、葺き替えパターン別に費用の目安をお伝えします。
日本瓦 → 日本瓦
日本瓦 ↓ 日本瓦 |
50,000円~90,000円/坪 |
15,200円~27,300円/㎡ | |
一般住宅あたり | 50万円~270万円 |
日本瓦 → スレート
日本瓦 ↓ スレート |
40,000円~70,000円/坪 |
12,200円~21,300円/㎡ | |
一般住宅あたり | 40万円~210万円 |
日本瓦 → ガルバリウム鋼板屋根
日本瓦 ↓ ガルバリウム鋼板屋根 |
50,000円~80,000円/坪 |
15,200円~24,300円/㎡ | |
一般住宅あたり | 50万円~240万円 |
スレート → スレート
スレート ↓ スレート |
40,000円~60,000円/坪 |
12,200円~18,200円/㎡ | |
一般住宅あたり | 40万円~180万円 |
スレート → ガルバリウム鋼板屋根
スレート ↓ ガルバリウム鋼板屋根 |
30,000円~60,000円/坪 |
9,100円~18,200円/㎡ | |
一般住宅あたり | 30万円~180万円 |
屋根葺き替え費用を1円でも安くする方法は?
それは、基本的に信頼のおける優良業者に屋根の葺き替え工事を依頼するしかありません。
なぜならば、あなたは葺き替え工事ができないからです。自分でできないことは人の手を借りるしかありません。
もしもあなたの知人・友人に葺き替え工事ができる人がいるならば、きっとこの記事を読まれていないので、あなたは必然的に業者の手を借りることになります。
では、その優良業者の見分け方を次の記事でお伝えしますので、興味のある方は参考してみてください。
優良業者はたった1つの問合せで見つかります
あなたがある業者に屋根の葺き替え工事を依頼しようかなと思われたら、その理由が経年劣化だとしてもあえて、その業者に「先日の強風で屋根が壊れたのですが、安く修理していただけますか?」とだけ電話で問合せをしてみてください。
電話応対の言葉で優良業者が分かる
その業者が「屋根を見させていただかないと、なんともいえませんね」とか、「屋根は、どんな状態なのですか?そうですね。まずは見積りさせてください」等と、すぐに見積りを促すような対応された業者は、優良業者とはいえません。
(注意:悪徳業者だという意味ではありません)
なぜならば、強風で屋根が壊れた場合は、火災保険の風災補償でその修理費用はカバーされるからです。屋根業者なら、誰でも知っていることです。
もっと詳しく火災保険の風災補償のことを知りたい方は「火災保険を使って屋根修理が0円でできる仕組みと確実な申請方法」記事をご覧ください。
優良業者の模範電話対応
この問合せの模範対応は、次のとおりです。
「先日の強風で屋根が壊れたのですが、安く修理していただけますか?」(あなた)
「それは大変でしたね。では、ちょっとお聞きしますが、火災保険には加入されていますか?」(業者)
「ええ、○○海上火災に加入しています」(あなた)
「それでしたら、十分に保険で修理できる可能性がありますので、修理費用の心配は無用ですよ」(業者)
このような対応ができるのは、日々お客様の利益を一番に考えている証拠です。
屋根を工事する技術はもちろんですが、あらゆる状況を考慮してお客様に目を向けた仕事している業者が本当の優良業者と言えるのではないでしょうか。
屋根換気に言及する業者も優良かも
もう一つ例を挙げますと、屋根の重ね葺き(カバー工法)時に、屋根下の換気について必ず言及する業者も信用できます。
一般業者は「このお客様は、価格に厳しい方だ」と判断した場合、価格が膨らんでしまう屋根裏の換気については、あまり話をしません。
なぜならば、価格競争に負けて他社にお客様を取られてしまうと恐れるからです。これでは、全くお客様のことを考えていませんよね。
当社では…
当社では、重ね葺き工事(カバー工法)のときは、必ず屋根下換気の必要性とその価格を伝えたうえで、お客様のご要望を伺っております。
屋根下換気とは、屋根の頂上部(大棟)と軒裏に換気口を取り付けて、温度差を利用して外部に湿気を逃します。そのため、頂上部(大棟)が短いと十分な換気はできません。
寄棟屋根など大棟が短い屋根形状の場合は、十分に換気できないので屋根塗装をおススメしております。場合によっては重ね葺き(カバー工法)をお断りすることもございます。
また古い屋根材をそのまま残しておく重ね葺き工事(カバー工法)は、健康被害や地震耐性の悪化が懸念されるためお断りすることがあります。
屋根葺き替え工事の期間と内容
では、実際工事を依頼するとどのくらい期間と何をやっているのかご説明いたします。
葺き替えパターン別の工事期間
日本瓦 → 日本瓦 | 約4日~6日 |
日本瓦 → スレート | 約2日~4日 |
日本瓦 → ガルバリウム | 約2日~4日 |
スレート → スレート | 約2日~3日 |
スレート → スレート | 約2日~4日 |
一般的な規模の住宅で、職人4人の場合です。
日本瓦→スレートへの葺き替え工事内容
ここでは一番多い日本瓦→スレートへの葺き替えについて説明しますね。
まずは、古い日本瓦を取り外し、降ろします。1枚1枚手作業で瓦を剥がしていきます。棟部の鬼瓦やのし瓦も降ろします。その降ろし方は大きく2通りあります。
大きな音を出しても施主様やご近所に迷惑にならないのであれば、軒先に大きなゴミ箱を置いて、そこに屋根から投げ込みます。大きな音がしますし、ホコリも出るのであまりお勧めいたしません。
もう一つが荷揚げ梯子(電動式の荷台が付いた梯子)を利用して丁寧に降ろす方法です。手間は掛かりますが、こちらをお勧めいたします。
次に日本瓦が引っかかっていた桟木(日本瓦を留めるための木材)を取り外します。そして防水のために敷いてあったルーフィングも撤去します。
下地である野地板を確認して穴をコーキングで埋めたり、クギの頭を打ち込んで修理します。基本的にはクギは抜かないほうがいいです。抜いてしまうと穴が開き、そこが雨漏りの原因となります。
野地板の傷みや腐食がひどいようであれば、新しい野地板にやり変えます。野地板がその下地となる垂木にしっかりと固定されているか確認してください。
野地板の上にアスファルトルーフィング(防水シート)を敷いていきます。その際、必ず雨水の経路を考えて軒先(屋根の一番低いところ)から棟(屋根頂上部)への順番で敷き始めます。
それぞれのアスファルトルーフィングの重ね幅は、上下方向は100mm以上、左右方向は200mm以上、壁面に接する立上り部分は300mm以上、棟部分は200mm以上が必要です。
アスファルトルーフィングは破れていないかもチェックします。アスファルトルーフィングを留めるには「タッカー」という大きなホッチキスで留めます。
屋根の広さを考慮してスレートを敷いていく位置を決めます。この位置決めを誤ると水捌けが悪くなったり、後に余分な手間が掛かることがありますので、慎重にしてください。
スレートを敷いていきます。もちろん敷き方は雨水の流れを考慮して軒先から棟へと順に敷きます。スレートにはクギ打ち用に穴が開いていますので、1枚1枚クギ打ちしていきます。
敷いたスレートに上にスレートを敷くときはそのクギ穴が隠れるように重ねて敷いていきます。また奇数列目と偶数列目のスレートの繋ぎ目は必ず互い違いになるようにします。
これも雨水の経路を苦慮しています。特に屋根棟部、軒先部、下屋部のスレートは現場での加工が必要になります。
最後に屋根棟部、軒先部、下屋部に水切り金具や棟板金などを取り付けて完了です。これらを取り付ける際も気を抜かず、雨水の流れを考えてクギやビスで固定することを忘れずに!
【よくある質問】屋根勾配は何度がいいのですか?
勾配とは、傾斜の度合いのことです。A点から水平距離10進んだ箇所で垂直方向に3の高さの箇所をB点とします。
そのA点とB点を直線で結んだ傾斜を屋根勾配の場合は3/10というような表し方をします。この場合は3寸勾配と言います。
建築基準法では、屋根材ごとに次のような必要最低勾配の規定があります。
金属葺き屋根は1/10以上(1寸勾配以上)
スレート葺き屋根は3/10以上(3寸勾配以上)
瓦葺き屋根 は4/10以上(4寸勾配以上)
一般的な屋根勾配は、4/10(4寸勾配)です。4/10(4寸勾配)は、角度に直すと約21.8°になります。
この角度にしておけば、ほとんどの屋根材に適していますので、葺き替え時でも勾配調整などの余計な費用が掛かりません。
一番ベストな屋根の傾斜は、約21.8°ということになります。
注意事項
日本瓦以外→日本瓦への葺き替えは、必要最低勾配に達していないので、勾配調整工事が必要になりますので、注意してください。
まとめ
この記事で、屋根の葺き替え工事の基礎知識や費用の目安、葺き替え時期が承知していただけたと思います。優良業者の見分け方も参考にしていただいて、満足できる葺き替え工事をしましょう。