屋根の葺き替え時に、同じ屋根瓦がいいのか、それとも今までとは異なった屋根瓦のほうがいいのか、迷ってしまいますよね。
その迷い解決には、業者からの説明だけでなく、あなた自身でもある程度、屋根瓦の種類を知っておく必要があります。
本日は、一般の方にはちょっと複雑な屋根瓦の種類を分かりやすくお伝えしたいと思います。
屋根瓦には5つの種類がある
屋根瓦のイメージというと、日本瓦やセメント瓦だけが頭に浮かんでくると思いますが、実はスレート屋根やガルバリウムなどの金属製屋根も屋根瓦なのです。
瓦とは、屋根の上に設置される化粧材の総称です。化粧材とは、女性が出掛けるときにする化粧と同じように、見栄えを意識した建築材料のことです。瓦=屋根材と覚えておいてください。
ここでは、一般住宅でよく使われている代表的な屋根瓦の種類を5つお伝えします。
粘土瓦(和瓦)
粘土瓦とは、粘土質の土を瓦も形に成型し乾燥された後、1000度~1250度ぐらいで焼いた屋根材です。別名では日本瓦や和瓦と呼ばれています。
粘土瓦は陶器ですので、耐久性が高く、メンテナンスも基本的には不要です。和風住宅には一番似合います。
しかし、他の屋根材と比べて重量があるので耐震性は劣ります。また、漆喰部分には定期的なチェックと痛みであれば漆喰補修が必要なります。
その種類は豊富で、種類分けの基準によってその呼び名も変化します。まずは形による種類からお伝えします。
形による種類分け
和瓦屋根の全体の約8割を占めているのが、下記の3形状の瓦です。
J形・和形
日本で昔から作られている波形の瓦です。和風瓦で最も日本では馴染み深い瓦です。直線的な山から谷への美しい湾曲と、その美しさを演出する棟や軒の役物瓦も多種多様で、日本屋根の文化を象徴しています。
一般住宅はもちろん、アパートやマンションなどでも採用されることもあり、日本建築にかかせない屋根瓦の種類の1つとなっています。
F形・平板瓦
長方形の洋風様式の瓦です。近年、日本建築様式の洋風住宅で多く採用されるようになってきました。 「F形」のFは、英語のFlatを指し、訳すと平面を意味します。
その名通り、J形瓦の山と谷の波形状をなくし、平板状のデザインで平板瓦とも呼ばれています。その平面形状を活かして凹凸や波形を極限まで抑え、スッキリとした印象の瓦が多数あります。
S形・スパニッシュ瓦(洋瓦)
S形のSはスパニッシュに由来といわれている波形の瓦です。スパニッシュとは、スペインのことです。その由来通り西洋住宅に良く似合い、波が斜めになっているのが特徴です。
個性豊かにさまざまな配色を出せるのが魅力で、中世ヨーロッパの屋根を再現できます。洋瓦とも呼ばれます。
製造方法による種類分け
釉薬を使用した方法と、釉薬を全く使用しない方法とがあります。
釉薬瓦
粘土を瓦形にして乾燥後、ガラス質の釉薬を表面にかけて焼いた瓦です。その釉薬の成分によって青色や黄色などに色合いが変化します。
いぶし瓦(未釉薬)
釉薬は全く使用しないで、焼いた後に極力、空気を遮断方法で製造されています。空気を遮断=「いぶされる」ことによって、瓦表面の炭素に膜を形成させ、独特の風格がある瓦です。
価格の目安:24,000円~90,000円/坪
価格に大きな幅がある理由
少額のほうは、新築時の価格です。高額のほうは、撤去作業や古い瓦処分費も含まれた葺き替え時の価格です。
葺き替え時の価格は、古い瓦の種類によっても価格は大きく異なります。その他、屋根の広さや勾配、施工方法によっても違いが生じています。
セメント瓦
セメントとは、石灰岩が主原料で水と反応させて硬化したものです。セメント瓦とは、そのセメントの製造過程で砂や砂利を入れて瓦形に成型したものです。
セメント自体に重量があるので、耐震性は劣ります。その表面は塗装されているので、再塗装など、10年~15年ごとにメンテナンスが必要な瓦です。
それに経年劣化による割れが発生することもあります。あまり目立ったメリットのない瓦なので、最近ではセメント瓦に葺きかえる人はほとんど見かけません。
ちなみに
コンクリート瓦との見分けが非常に難しいです。瓦の角が滑らかな方がセメント瓦で、ボコボコしている方がコンクリート瓦です。
価格の目安:18,000円~80,000円/坪
価格に大きな幅がある理由
少額のほうは、新築時の価格です。高額のほうは、撤去作業や古い瓦処分費も含まれた葺き替え時の価格です。
葺き替え時の価格は、古い瓦の種類によっても、価格は大きく異なります。その他、屋根の広さや勾配、施工方法によっても違いが生じています。
金属瓦
実は、瓦は日本瓦だけをイメージされますが、屋根の上に敷く屋根材はすべて瓦と呼びます。「ガルバリウム鋼板」「スレート」「シングル」も瓦です。
以前は亜鉛メッキ鋼板のトタンが主流でしたが、近年ではガルバリウム鋼板が主役になりつつあります。
その最大理由は、錆びにくいことです。トタンに比べて4~6倍も防錆性が高いと言われています。ここではガルバリウム鋼板についてお伝えします。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、55%ものアルミメッキで覆われている鋼板です。また、金属なので軽量でかつ、加工性にも優れています。加工技術が発達した現代では、スレートや洋風瓦の形をしたガルバリウム鋼板も登場しています。
さらに雨音を抑えるため、表面に石粒を付着させて防音性に優れているものや施工時にガルバリウム鋼板下に断熱材を敷いて断熱性が高いものもあります。
しかし、ガルバリウム鋼板の原版に近いものをそのまま屋根に葺くのであれば、比較的安価なのですが、いろいろと付加価値を付けたり、形を加工すると価格は高くなります。
価格の目安:18,000円~80,000円/坪
価格に大きな幅がある理由
少額のほうは、新築時の価格です。高額のほうは、撤去作業や古い瓦処分費も含まれた葺き替え時の価格です。
葺き替え時の価格は、古い瓦の種類によっても価格は大きく異なります。その他、屋根の広さや勾配、施工方法によっても違いが生じています。
スレート瓦
現在、新築住宅で最も普及しているのはスレート瓦です。
天然スレートと化粧スレートがありますが、天然スレートは、自然界にある粘板岩をそのまま薄く板状に加工したもので、産出量も少なく、加工技術も匠レベルを必要としますので、非常に高価でほとんど見かけることはありません。
一方、化粧スレートは、セメントと繊維で加工された工業製品です。一般に多く広まっているので、ここでは化粧スレートについてお伝えします。
化粧スレート
化粧スレートは5mm程度の薄い瓦ですので、比較的軽いです。そのため耐震性も高いといます。色合いも表面と塗装仕上げしますので、バラエティ豊富です。
また、施工が非常に簡単なため、非常に安価です。好みもありますが、デザインもスッキリしていて人気があります。
しかし、薄いので割れやすいのが欠点です。もちろん割れをそのままにしておくと雨漏りの原因になりますので、その都度修理費用が掛かります。
また塗装仕上げのため、10年~15年で再塗装が必要になり、メンテナンス費用も掛かります。
価格の目安:15,000円~70,000円/坪
価格に大きな幅がある理由
少額のほうは、新築時の価格です。高額のほうは、撤去作業や古い瓦処分費も含まれた葺き替え時の価格です。
葺き替え時の価格は、古い瓦の種類によっても価格は大きく異なります。その他、屋根の広さや勾配、施工方法によっても違いが生じています。
シングル瓦
シングル瓦とは、アスファルトシングルという屋根材です。ペラペラの非常に薄い屋根材です。アメリカ生まれの屋根材のため、日本ではほとんど普及していません。
しかし「オークリッジプロ」という高品質なシングル瓦が登場してきて、注目を集めています。
オークリッジプロについて
その特徴は「高い防火性」「30年保証」「高い消音性」「超軽量」それに超簡単な「施工方法」です。
なんだか良いこと尽くめの屋根材のようですが、まだ日本では実績が少ないため、その特徴が日本の風土でも発揮するのかどうかは、私的にはなんとも言えません。
「自分で屋根を葺き替えたい」「新しい物好きだ」という方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
価格の目安:15,000円~70,000円/坪
価格に大きな幅がある理由
少額のほうは、新築時の価格です。高額のほうは、撤去作業や古い瓦処分費も含まれた葺き替え時の価格です。
葺き替え時の価格は、古い瓦の種類によっても価格は大きく異なります。その他、屋根の広さや勾配、施工方法によっても違いが生じています。
※屋根の勾配に決まりがあります
勾配とは傾斜角度のことです。建築基準法ではそれぞれの屋根材によって最低勾配が定められています。
具体的には、金属瓦は1/10以上、スレート瓦は3/10以上、その他瓦は4/10以上です。金属瓦→スレート瓦→その他瓦の順で最低傾斜角度が高くなります。
特に注意する点
それは金属瓦→金属瓦以外に葺き替えるときです。ほとんどの場合、最低勾配に達していないので、屋根面の勾配を調整する追加工事が必要になります。
そのため金属瓦を葺き替えされる場合は、同じ金属瓦にすることをおススメします。
ちなみにスレート瓦は3/10以上ですが、実際はほとんどが4/10以上の勾配になっているので、どの屋根材・瓦にもそのままで葺き替え工事できます。(※必ずご自身で確認が必要です)
屋根瓦の種類比較表
金属 | スレート | 粘土 | セメント | シングル | |
耐久性 | ◎ | △ | ◎ | ○ | △ |
耐震性 | ◎ | ○ | × | × | ◎ |
メンテ | ◎ | △ | ○ | △ | ○ |
デザイン | ◎ | ○ | △ | ○ | ○ |
価格 | ○ | ◎ | × | △ | ◎ |
その葺き替えは本当に必要?
屋根の葺き替えを検討されるきっかけは何だったでしょうか?雨漏り?塗装の色落ち?屋根の破損?業者に言われたから?もしも、あなたの住宅が築40年以下であれば、その葺き替え工事は不要かもしれませんよ。
さらにこれら修理工事であれば、負担金0円で修理できる可能性もあります。
そのワケは、すでにご加入中の火災保険です。火災保険の中の風災補償で、屋根修理費用がカバーされることがあります。
詳しく知りたい方は「火災保険を使って屋根修理が0円でできる仕組みと確実な申請方法」をご覧ください。きっとお役に立てると思います。
業者選びが最も重要
屋根の葺き替えや修理する際に、最も重要なことは屋根材の種類や施工方法ではありません。
特に屋根材の種類は同じ物であれば、どの業者でも品質は全く同じです。施工方法も似たり寄ったりですが、しかしその施工方法の実行力は、業者によってかなり開きがあります。
安い業者は技術や経験が少ない
特に安い業者は、技術や経験の少ないアルバイト職人を使って施工をしていることがほとんどです。
すぐに雨漏りしたり、塗装が剥げてしまっては、いくら安くても、価値はありませんよね。逆に高く付くことにもなりかねません。
だから業者選びが一番重要です
技術力のある業者は正直、高いです。そしてボッタクリ業者も高いですよね。だから業者選びが一番重要なのです。
実は、前項目の「火災保険の風災補償」の存在をある方法で活用すれば、簡単に正しい業者選びができて、すぐにボッタクリなどの悪徳業者は判明できます。
その方法は「絶対に騙されない!屋根修理詐欺の実態と悪質な修理業者の見分け方」で詳しく説明していますので、興味のある方はご覧ください。
まとめ
代表的な屋根瓦の種類をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?工事内容を葺き替えと決め付けず、屋根塗装や屋根修理なども視野に入れて、幅広く検討されることをおススメします。