
新築時や屋根リフォーム時に、業者に勧められるままで本当に屋根の種類を決めても大丈夫かなと思われていませんか?
もしかしたら、業者都合でその屋根を勧められているだけかもしれませんよ。このさきずっと住むかもしれないご自宅 なので、自分の要望を可能な限り取り入れたいものです。
せめて基本的な知識を得て 屋根の「形」と「素材」の組み合わせから選びましょう。この記事では基本的な屋根種類と屋根素材についてと、それらの特徴をお伝えします。
屋根の比較表
日本の住宅では、以下の9つの屋根種類と5つの屋根材が代表的です。その特徴に合わせて候補を挙げていきましょう。
ルーフパートナー編集部が、「×・△・○・◎」の4段階でおススメ度をつけていますので、参考にしてみてください。
ガルバリウム | スレート | セメント | 日本瓦 | トタン | |
招き屋根 | ☆ | ◎ | ○ | ○ | △ |
切妻屋根 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
片流れ屋根 | ◎ | ◎ | ○ | △ | ○ |
寄棟屋根 | ◎ | ◎ | △ | ○ | △ |
方形屋根 | ○ | ○ | △ | △ | △ |
はかま腰屋根 | △ | △ | × | × | × |
入母屋屋根 | × | △ | △ | ◎ | × |
越屋根 | × | × | △ | ○ | × |
陸屋根 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 |
では具体的な屋根の選び方を見ていきましょう。
屋根の形で選ぶ
屋根の形にはさまざまな種類があります。ここで紹介するのは以下9種類の屋根です。
では順に解説していきます。
切妻屋根(きりづまやね)
おススメ度:○
切妻屋根(きりづまやね)とは、みなさんの頭にすぐ浮かんでくる、一般的な屋根のことです。
漫画やイラストではよく、四角い建物の上に三角の屋根がついたものがありますが、まさしくそれが切妻屋根です。すぐにイメージできるのではないでしょうか。
屋根頂上部(大棟)から下方へ2面、野地板が伸びていき屋根の形状を構成します。
切妻屋根のメンテナンスチェック箇所
切妻屋根は、構造が単純なので比較的丈夫で雨漏りが少なくメンテナンスも安価です。しかし定期的なメンテナンスは必要になります。
メンテナンスチェック箇所は棟部・軒先・ケラバなどがあります。
寄棟屋根(よせむねやね)
おススメ度:△
寄棟屋根(よせむねやね)とは、屋根の最上部から4方向の屋根面が分かれている屋根の事を言います。その名の通り、屋根面を寄せて棟が切妻屋根より短くなっているのが特徴です。
最近の若い人には馴染みのない名称かもしれませんが、最近の屋根はもっぱらこのタイプも非常に多いように思います。
寄棟屋根は切妻屋根と違い、大棟だけの構造ではありません。4面を合わせている性質上「下り棟」といわれる大棟(最上部)から下っていく棟が4つ存在します。
寄棟屋根のメンテナンスチェック箇所
大棟と下り棟の取合い部分を「かき合い」といい、この部分はY字型の合わせになります。実はこの部分で雨漏りが発生することが多いです。
棟板金の加工に手間が掛かることもあり、切妻屋根よりか若干メンテナンス費用が高めになります。
入母屋屋根(いりもややね)
おススメ度:×
入母屋屋根(いりもややね)とは「上部切妻」「下部寄棟」が混在した屋根の事をいいます。
田舎では非常に良く見かける屋根の形状ですが、街中でも日本瓦の屋根を注意深く観察していると、きっと入母屋屋根を見つける事ができると思います。
切妻屋根と寄棟屋根の両方の構造を併せ持ったものになりますので、その構造は複雑です。「棟が多くあること」「合わせが複雑なこと」等の理由から雨漏りの危険も多くなります。
入母屋屋根のメンテナンスチェック箇所
入母屋屋根のメンテナンスは、切妻屋根・寄棟屋根と変わりはありません。
しかし壁の部分からの漏水だとすると構造が複雑なため、大工仕事も絡む工事となりますので金額は高額になります。
片流れ屋根
おススメ度:○
片流れ屋根(かたながれやね)は、切妻屋根を棟の沿って真っ二つに切断した形状の屋根です。流行の今風なイメージで設計士が好んでデザインする屋根とも言えます。
その影響から新築屋根では最近非常に多く見られるようになってきました。
小さな敷地でも合理的にお洒落な住宅に暮らしたい20~30代の若い世代の夫婦を中心に需要が高まってきています。
片流れ屋根のメンテナンスチェック箇所
複雑な屋根部分がほとんどないため工事価格が安く済みます。また ほぼ1枚屋根のため 雨漏りも少なくメンテナンスチェックも簡単です。
しかし屋根が一面しかないため雨が集中してしまい、雨樋へ一気に雨水が流れ込み 溢れてしまうので 定期的なチェックが必要です。
方形屋根(ほうぎょうやね)
おススメ度:△
方形屋根の方形は(ほうぎょう)と言います。ひとつの頂点から四方へ同じ角度で傾斜した屋根のことです。寄棟の一種とされていますが、ピラミッド型屋根と説明すればイメージしやすいでしょうか。
屋根面が屋根頂上中央部に集まった屋根で、屋根の下にある部屋は、ほぼ正方形である必要があります。
方形屋根のメンテナンスチェック箇所
寄棟屋根と同じく、かき合い部分で雨漏りが発生することが多いです。
陸屋根(ろくやね、りくやね)
おススメ度:×
陸屋根は「ろくやね」もしくは「りくやね」と言います。一般的には屋上がある水平な屋根の事を指します。
デザインの観点からや住宅メーカーの供給方法により、最近では一般住宅で施工数が微増しているようです。
豪雪地方では落雪事故防止のため、鉄筋コンクリート構造での陸屋根を採用する住宅が増えています。
陸屋根のメンテナンスチェック箇所
水平な屋根ですので、風の影響が少なくて一見雨漏りの危険は少ないのではと思われますが、屋根に傾斜がないことでのデメリットのほうが大きいです。
雨漏りの危険度を増してまで陸屋根の形状にする理由があれば別ですが、 一般住宅の屋根としてはおススメできません。
はかま腰屋根
おススメ度:△
はかま腰屋根は、切妻屋根の妻側に屋根上部から少しだけ寄棟屋根のように屋根面を設けた屋根のことを指します。
はかま腰屋根という名前は、袴をはいたときの姿と似ていることからと言われています。はかま腰屋根は、別名「隅切りや半切妻」「ドイツ屋根」とも呼ばれています。
はかま腰屋根のメンテナンスチェック箇所
建築基準法で高さ斜線制限がある場合 先端屋根の高さを低く抑えることができるのが、はかま腰屋根です。道路斜線や日影規制など法的な制約から使われる事がほとんどです。
つまり 住宅や室内の高さを低くする必要がなくなって 要望に近い室内空間が実現できます。
招き屋根
おススメ度:◎
招き屋根の形状については、切妻屋根の一方の屋根面を長くして もう片方を短くした屋根のことを指します。
この招き屋根は、屋根面の片側が急こう配で 片方の屋根上部に壁を作りますので室内空間が高くなります。そのためロフトや天井裏の物入れスペースを作りやすい屋根形状と言えます
招き屋根のメンテナンスチェック箇所
屋根の高さが段違いになっているので、雨漏りの大敵である強風や突風に強いです。雪が解けぬくい北側の屋根面を狭くすれば、積雪量が減せます。
しかし屋根と外壁との雨仕舞いをしっかりしていないと雨漏りが多発する傾向にあります。
越屋根
おススメ度:×
越屋根の形状については、屋根の最上部に明かり取り採光や風通しのための、屋根の上に小さな屋根組をのせた屋根を指します。
小さな屋根組の外壁面にトップライトの役目として窓を取り付ける例が多いです。簡単に言いますと、切妻屋根の頂上中央の一部を持ち上げたような屋根です。
立ち上がり部分を利用して、十分に換気や採光をとれることが特徴です。
特徴について
屋根の上に小さな屋根が付いている屋根なので、その構造もより複雑です。そのため新規で工事をするにしても、修理をするにしても、非常に手間がかかり技術も必要になります。
当然その費用も高額になります。また屋根構造が非常に複雑なので、雨漏りの危険度は大きいです。
屋根の素材で選ぶ
日本の住宅では、以下の5つの屋根素材が代表的です。
- ストレート
- 日本瓦
- トタン
- セメント瓦
- 石粒付きガルバリウム
その特徴に合わせて候補を挙げてみましょう。
ルーフパートナー編集部が「×・△・○・◎」の4段階でおススメ度をつけていますので、参考にしてみてください。
スレート
おススメ度:○
商品名ではコロニアル・カラーベストが有名です。現在 日本では最も多い屋根材と言われています。
価格 | 5つの中でも最も安価 |
強度 | 風や地震の影響で非常に割れ易い |
耐久性 | 20年~25年でやや劣る |
メンテナンス | 10年程度で塗装や棟板金交換が必要 |
デメリット | 頻繁なチェックと定期的なメンテナンスが必要 |
日本瓦
おススメ度:△
日本に古くから伝わる伝統的な屋根材です。街中ではあまり見られませんが、田舎では、まだまだ多くの日本瓦の住宅があります。
価格 | 5つの中でも最も高価 |
強度 | 厚みがあるがので比較的強いが、陶器や素焼きなので割れることも |
耐久性 | 50年~100年で非常に優れている |
メンテナンス | 漆器部分にはメンテナンスが必要だが、日本瓦自体には不要 |
デメリット | 日本瓦自体が重いので、屋根が重くなり地震対策には不向き |
トタン
おススメ度:×
比較的古い建物や住宅に多く見られます。別名、瓦棒ともいいます。サビが出やすい屋根材として知られています。
価格 | スレートの次に安価 |
強度 | サビが出ると強度が一気に下がる |
耐久性 | 10年~20年で非常に劣る |
メンテナンス | 7年~10年で補修と塗装が必要 |
デメリット | 雨音がすることと、頻繁にメンテナンスが必要 |
セメント瓦
おススメ度:△
外見は非常に日本瓦に似ているものが多いが、セメント加工でき、塗装もできる。洋風ではモニエル瓦が有名。日本瓦より軽くて、価格も安い。耐久性もある。
価格 | 日本瓦の次に高額 |
強度 | セメントなので比較的強度はあるが、やはり割れ易い |
耐久性 | 30年~40年である程度よい |
メンテナンス | 15年~20年で塗装が必要 |
デメリット | 重量があり、地震対策として不向きで、塗装が剥げやすい |
石粒付ガルバリウム
おススメ度:◎
ガルバリウム鋼板に石の粒を吹き付けた屋根材になります。今最も注目を浴びている屋根材です。
価格 | スレートより高価だが、高機能 |
強度 | 金属なので割れない |
耐久性 | 30年~50年でトタンと比べてかなり良い |
メンテナンス | 基本的にメンテナンスは不要 |
デメリット | 新しい屋根材なので施工時技術・施工不良の懸念がある |
おススメの組み合わせ
ルーフパートナー編集部が選ぶもっともおススメの組み合わせがこちらです。
石粒付ガルバリウム鋼板の招き屋根
おススメ1位の理由
- 招き屋根は、非常に風に強い形をしているからです。
- ガルバリウム鋼板は、錆びにくく 非常に軽量で地震に強いからです。
- 石粒は、金属特有の雨音を抑える機能があるからです。
ただし、屋根と外壁の接合部分の雨仕舞いは 耳が痛くなるほど施工業者にしっかりと行なう様に念を押しておきましょう。
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まとめ
この記事では代表的な9種類の屋根と、5つの屋根材をご紹介しました。
それぞれの機能が組み合わせることで、みなさんの理想となる屋根が完成するはずです。
屋根修理は専門の業者に任せるとはいえ、知識を身に着けておいて損はありません。
理想的な屋根は、家を長持ちさせます。この記事を参考に、理想の屋根を見つけていただけると嬉しいです。