太陽光パネルの設置や屋根の葺き替えをする際に、野地板って、そのままでもいいのかな?それとも取り替えたほうがいいのかな?と思われていませんか?
正しい判断をするには、業者任せでは駄目です。あなたにも野地板の基本的な知識があれば、その迷いも解消されます。
そこで、この記事では野地板についてわかりやすくお伝えします。
野地板とは
野地板とは、ストレートや瓦など屋根材を支えるために張る板の総称です。野地板の「野」は目に見えないところに用いるという意味です。
野地板は屋根材を設置すれば、屋根の上からは全く見えなくなるので、「野」地板と呼ばれる所以です。
木製野地板の基本的なサイズや寸法
杉などの木製野地板の厚みや縦、横のサイズは下記の種類があります。
厚み寸法
- 9mm
- 12mm
- 15mm
縦寸法
- 105mm
- 135mm
- 165mm
- 180mm
横寸法
- 1820mm
- 1980mm
- 2000mm
ホームセンターなのでは、基本的の下記サイズの野地板が多いようです。
- 厚み12mm×縦105mm×横1820mm
- 厚み12mm×縦180mm×横1820mm
野地板は基本的に塗装はしません
前出の通り、「野」地板ですので、人の目に触れる建材ではないので、基本的には塗装は必要ないですし、ホームセンター等で販売されている野地板も塗装されていません。
しかし次のような場合は塗装が必要になることもあります。
DIYで野地板をインテリアに用いる場合
日曜大工が趣味で、野地板を板壁にしたり、本棚などを野地板で作る場合は、やはり塗装をしたほうがよりインテリアにマッチするでしょうね。
野地板をおしゃれに板壁にDIYしているサイトがありましたので、参考までにお伝えしておきます。http://ienakanote.com/
野地板には主に3つの種類がある
そして、野地板はその材質や機能によって大きく3つ分類されます。
種類① 杉の野地板
高度成長期以前は、野地板といえば杉板を使ったものが大半でした。杉板とは、杉の木をスライスして板状にしたものです。昔の瓦は、形が均一ではなかったため、瓦下に雨水が浸入することは頻繁にありました。
また現在のようにルーフィングという防水シートを施工技術もありませんでしたので、乾燥しやすい杉板が野地板に使用されるのが普通でした。
大工さんによっては、いまだに「野地板は杉じゃなきゃ駄目だ」と言われることもありますが、そんなことはありません。現在では、次項目の野地合板が主流です。
種類② 野地合板
野地板の材質に合板が使用されているものを野地合板といいます。
現在ではストレートや瓦など屋根材を支えるために張る板には、ほとんどがこの野地合板が使用されているので「野地合板=野地板」の意味で捉えていいでしょう。
杉板の場合は、杉の木の幅よりも広い野地板はありませんが、野地合板は、複数の木板を張り合わせで作りますので、一枚の野地合板が広くでき、雨漏りの危険も少なく、施工効率も上がり、施主にとっても施工業者にとってもメリットのある建材です。
この野地合板の中でも、耐火規制をクリアしたものを耐火野地合板といいます。次は耐火野地合板についてお伝えします
種類③ 耐火野地合板
火災の際に30分以上耐えられる野地合板のことを耐火野地合板といいます。特に準防火地域または防火地域、屋根不燃区域にお住まいの方は要注意です。
この地域・区域では耐火野地合板の施工が義務付けられています。あなたの住まいに耐火野地合板が必要かどうかは、市区町村の都市計画課などに電話問合せすればわかります。
該当の課が見当たらない場合は、総合受付で「用途地域を調べたい」といえば、担当課に電話を繋いでくれます。耐火野地合板には大きく2種類ありますので、その概要をお伝えします。
木毛セメント板
木材をリボン状に削り取った木毛にセメントを混ぜ、板状に圧縮成型した準不燃材です。加工しやすく、軽量で断熱性・吸音性などに優れています。
その密度により普通木毛セメント板と硬質木毛セメント板があります。
木片セメント板
比較的短い木片にセメントを練り合わせ、板状に圧縮成型した準不燃材です。その密度により普通木片セメント板と硬質木片セメント板があります。
木毛セメント板と同様に加工性がよく、軽量で断熱性・吸音性などに優れています。
野地板の価格目安
杉の野地板 | 750円~17,125円/㎡ |
参照元:http://www.shinrinkyodo.co.jp/
野地合板 | 913円~1,458円/㎡ |
耐火野地合板 | 2,608円~9,500円/㎡ |
【ちなみ情報】野地板を床材代わりにする場合
野地板をお手製のフローリングにする際は、表面がザラザラしていて足裏にトゲなどが刺さって危険ですので、野地板の表面をワックス加工されるほうがいいでしょう。
また釘打ちも釘の種類やしっかりと深く打ち込まないと、足の怪我や床鳴りの原因になるので気を付けましょう。具体的なDIY方法は、http://sato-farm.info/ をご覧ください。
太陽光パネル設置時に気をつけるポイント3つ
太陽光パネルを屋根に設置する際に、気をつけるポイントは「野地板の厚み」と「垂木の位置」です。太陽光パネルメーカーでも設置基準が「野地板固定」と「垂木固定」の2つに分かれています。
野地板の厚みは12mm以上
基本的には、厚みが12mm以上ない場合は、野地板を新しく取り替えてから太陽光パネルを設置するのがいいでしょう。特に築30年以上の住宅では、野地板が12mmに達していない場合が結構ありますので、しっかり確認しましょう。
業者の中には「そんなことは気にしなくても大丈夫。実際に9mmの野地板でもちゃんと設置できたから」という方もいますが、絶対に信じては駄目です。
太陽光パネルが普及しはじめたのは、ここ最近です。問題が発生するのは、これからなのですから。ちなみに12mmに達していない場合は、メーカー保証を受けられないこともあります。
垂木の位置
垂木とは、野地板を固定する屋根の基礎となる重要な骨組です。その作りは非常に頑丈にできています。そのため、一部の太陽光パネルメーカーでは垂木に固定することを設置基準しています。
その場合は、垂木に固定していなければ、メーカー保証を受けることはできません。垂木の間隔と太陽光パネルのサイズが合わなければ、野地板固定を設置基準にしているメーカーに替えたほうが賢明です。
太陽光パネルメーカー別の設置基準
※以下はメーカーごとの設置基準です。
メーカー | 設置基準 |
東芝 | 垂木 |
ソーラーフロンティア | 垂木 |
パナソニック | 野地板 |
京セラ | 垂木 |
シャープ | 野地板 |
長州産業 | 野地板 |
ダイキン | 垂木 |
サンテック | 垂木 |
屋根葺き替え時の野地板について
屋根葺き替え時の野地板の扱いは、その傷み具合によって異なります。野地板の腐食が多く、傷みや損傷が激しい場合が、屋根材とともに新しく取り替えることをおススメします。
そのワケは、いくら見た目の屋根材が新しくなってもその下地が崩れてしまったら元も子もないからです。
屋根材が新しくても野地板が凹んでしまったら、すぐに雨漏りすることは想像に難しくありませんよね。
目安は築30年以上
一応、野地板の葺き替え時期の目安としては、野地合板が普及しはじめる以前の杉板の野地板であれば、一緒に野地板も葺き替えるべきでしょう。
具体的には約30年以上前に建てられた住宅の屋根です。これを機会に1度、自宅屋根の野地板が杉板なのか、合板なのか確かめてみるのもいいでしょう。
まとめ
屋根の野地板について基本的なことをお伝えしましたが、分かりやすかったでしょうか。この記事を機会に、ご自分でも簡単な屋根点検や雨漏りチェックしてみましょう。