突然、雨漏りがはじまった…。自分で修理しようにもその方法がわからない。しかも業者に連絡しても中々来てくれない。自宅が心配で心配で、気がヤキモキしていませんか?
長時間、雨漏りを放置していると、最悪の場合、屋根が崩落してしまうことがあります。
また屋根が全体に雨水が染み渡り、大量のカビが発生することもあります。特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、健康被害が懸念されます。
その対策として、雨漏りの応急処置のことを記事にしてみました。よろしければ参考にしてください。
代表的な室内の雨漏り応急処置について
まずは、一般の人でもできる室内の雨漏り応急処置の方法3つについてお伝えします。
バケツや洗面器で雨水を受け止める
よくテレビドラマで登場するシーンのように、床に垂れ落ちる雨水をバケツで受け止めるのが、最もポピュラーな室内の雨漏り応急処置方法です。
必要な物は、生活で使っているバケツや洗面器なので、全く費用が掛からずに誰にでもできます。
雨水を雑巾に染み込ませる
窓際からの雨漏りにうってつけな応急処置方法は、雑巾を雨漏り箇所において、染み込ませることです。
これもまた必要な物は、生活で使っている雑巾やタオルなので、全く費用が掛からずに誰にでもできます。
吸水シートを天井裏に敷いておく
雨漏り箇所付近の天井に点検口があり、天井裏に上がれるようなら、雨染みがある場所に吸水シートを敷いておくで応急処置ができます。
吸水シートの価格は、50枚~100枚で、1,500円前後です。お近くのホームセンターなどで購入できます。
屋根に上る雨漏り応急処置前の注意点
雨漏りの応急処置には、上記でお伝えしたように、室内や天井裏から行なう方法もありますが、その方法では「焼け石に水」です。
なぜならば、屋根から雨水の侵入箇所を塞いでいないからです。雨漏りの原因は、室内や天井裏ではなく屋根にあるわけですからね。
ちゃんとしたというか、1度の応急処置で室内への雨水侵入を防ぐには、当然屋根に上って応急処置をしなければなりません。そこでまずは屋根に上る際の注意点をお伝えいたします。
梯子を掛ける位置
ほとんどの場合は雨どいにも梯子が掛かると思います。雨どいが割れたりしないように位置を決めてください。
また梯子がグラグラしないように雨どいの支持金具と梯子上部を紐で縛ると固定されてグラツキは収まりますので、試してみて下さい。
梯子を掛ける角度
理想的な角度は75度です。45度などの小さい角度だと梯子の足が地面を滑ってしまい、最悪の場合、梯子が天秤のようになり、屋根から落下します。
また85度などの大きな角度だと上っている最中に自分のほうに梯子が倒れてきて転落してしまいます。最近の梯子には側面に角度がすぐにわかるようシールが貼ってありますので、確認してみてください。
梯子の足元
知人に手伝ってもらい、梯子の内側から屋根側に引っ張ってもらったり、梯子の下部と自宅一部とをロープで結んで必ず、足元がズレないようにしてください。
そうしないと上記に書かれているように天秤になったりして大怪我を負うことになります。また、地面が斜めになっていると梯子が左右に倒れてしまいます。必ず、地面に凹凸がないことを確かめてください。
上る際の姿勢
そして、両手両足でしっかりと梯子を掴んで一段一段ゆっくりと上ってください。極力身体と梯子を近づけながら。そのほうが梯子は安定します。屋根の高さまでいったら、ゆっくりと屋根上に移動します。
ここが一番恐怖を感じる場面です。高所で何も手で掴めるところがないというのは、本当に恐ろしいし、身体が不安定で危険ですので、細心の注意を払いましょう。
十分な長さの梯子
その対策として屋根の高さまで十分に届く二段梯子を準備してください。長さがギリギリだと梯子から屋根に移れなくなることがあります。
せめて雨どいの高さよりも50センチぐらいは長い二段梯子をご準備ください。
簡単な雨漏りの応急処置方法
雨漏りの応急処置には大きく分けて3つの方法があります。雨漏り箇所や自分の経験を考慮して選びましょう。
決して無理をして自分で応急処置しないでください。2F以上の雨漏りや自信のない方は必ず、業者に応急処置を依頼してください。
ブルーシートを被せる方法
まずは、下記の必要なものをご準備ください。
手順① ブルーシート
小さなブルーシートはお勧めいたしません。できれば4畳タイプ以上のものがいいです。
手順② 土嚢袋/ウォーターバッグ
大きさは480mm×600mmのものがお勧めです。最低4つは準備しましょう。男性の方でしたら、梯子で上っていける重さだと思います。
手順③ ブルーシートを被せる
被せる箇所は必ず、室内に雨水が浸入しているところより上部にブルーシートを被せてください。雨水の流れや経路を考慮すれば自然と雨漏り箇所より上側になりますよね。
そして極力、広範囲にブルーシートを被せるようにしましょう。一般の方が雨水の侵入箇所を決め付けてブルーシートを被せると全くの無駄になってしまう可能性があります。
雨漏りは想定外の箇所から雨水が浸入していることが多々あります。
手順④ 土嚢袋やテープなどでブルーシートを固定する
土嚢袋は、土嚢袋に粗目の砂利をつめる。決して細かい砂や土を土嚢袋に入れないでください。
その理由は雨です。土嚢袋に雨水が含まれると泥水が流れ出て、雨どいや排水溝の詰まり原因になります。
また瓦も泥水を被り、見栄えも非常に悪くなります。土嚢袋を撤去する際も水分を含んで重くなり、必要以上の体力を消耗することになります。
その他、ブルーシートを固定する方法としては、テープだけを使用する場合もあります。
ブルーシートと屋根の間に僅かな隙間があれば、そこから風が入り込み、ブルーシートが飛んでしまうこともあります。
それを防ぐためテープを隙間なく貼り、さらにその上から土嚢袋を載せることは、応急処置としては万全でしょう。
【上級者向け情報】
さらに上級者向けになりますが、テープと瓦の併用方法もあります。瓦を重し代わりに利用する方法です。
ただし、この方法はあまりお勧めいたしません。屋根の構造や雨漏りになる仕組みを熟知していないと、その瓦箇所から新たに雨漏りが発生してしまいます。
屋根の構造を知らないで、瓦などに手を加えることは屋根を壊していることと変わりません。
家庭用の粘着テープや防水テープを張る方法
この方法は、トタン屋根・陸屋根の場合に限り、確実に雨水の浸入箇所が判明している場合のみ、行なってください。
まだ判明していない状況だと、屋根がテープだらけになり、見栄えも悪くなりますし、手間も掛かってしまいます。
手順① 下記の必要なものをご準備ください
・粘着テープ
・防水テープ
・掃除道具
・ごみ袋
手順② 該当箇所を掃除します
次に雨水の浸入口周辺を丁寧にテープが密着して貼れるよう細かな凹凸を滑らかします。そして雑巾などでホコリや砂を取り除きます。
もし、テープを貼る面に油などがあったら、必ず洗剤やアルコールで取り除きます。油があると粘着力が低下し、すぐにテープが剥がれてしまい、雨漏りの原因になります。もちろん、水分もあれば乾燥させておきます。
手順③ テープを貼ります
闇雲にテープを貼ってはいけません。テープを貼るには基本的な順番があります。それは雨水の流れる方向を考えて、下流から貼り始めて段々と上流に向けて貼っていき、最後に最上流で貼り終えるにしてください。
途中、テープの貼る面に空気などがはいらないように、しっかりと指や工具で押さえながら貼っていくのがコツです。テープとテープの重なり部分は極力少なくすると応急処置とはいえ、ある程度は長持ちします。
また、あまりにも広範囲にテープを貼ってしまうと、雨水の経路が変わって異なった箇所から雨漏りすることがありますので、適度な範囲で抑えることをお勧めいたします。
手順④ 後片付け
最後に取り除いたゴミやテープの切れ端などは屋根に放置せず、ごみ袋に入れ処分します。もしもそのまま放置したら、後に雨どいの詰まりの原因になります。
コーキングで応急処置する方法
この方法も確実に雨水の浸入箇所が判明している場合のみ、行なってください。
まだ判明していない状況だと、屋根がコーキングだらけになり、見栄えも悪くなりますし、手間も掛かってしまいます。
手順① 下記の必要なものをご準備ください。
・防水コーキング
・コーキングガン
・掃除道具
・ごみ袋
手順② これ以降の工程は同上
以降の手順は、ほとんど上記の「家庭用の粘着テープや防水テープを張る方法」と同じです。
そのため割愛させていただきます。テープのところをコーキングに置き換えていただければご理解していただけると思います。
応急処置の費用について
ブルーシート
ブルーシート | 数百円程度 |
テープや土嚢袋、ウォーターバッグ
粘着、防水テープ ・ウォーターバッグ・土嚢袋 |
数百円~千円前後 |
防水コーキング
防水コーキング | 数百円~千円前後 |
業者による応急処置
雨漏り応急処置 | 数万円~10万円前後 |
応急処置のデメリット
応急処置のデメリットには3つあります。その3つとは「雨漏り再発」「落下危険」「別箇所での雨漏り」です。それぞれを詳しくお伝えいたします。
雨漏りの再発は当たり前です
屋根の構造や雨漏りの仕組みを理解されていない方が、応急処置を行なうと全く的外れのことをしてしまいます。そう、まるで釣り針を付けないで釣り糸だけ垂らして魚釣りをしているかのように。
瓦の下がどのような作りになっているかを把握していないので、ポイントが絞れず、適当な箇所をとりあえず、自分で目に付く範囲で応急処置をしてしまうからです。
よくある悪い例が2F窓や梯子から手が届く範囲だけの応急処置などです。肝心の雨水進入箇所を応急処置しないと何の意味もありません。一応、雨漏りの再発と書いていますが、
応急処置後、たまたま3週間晴天が続いた。そして雨天時に、雨漏りして「あ~、雨漏りが再発してしまった!」と勘違いしているだけなんです。
そうりゃそうですよね。雨が降らなければ、当然雨漏りもしませんよ。だから一般の方が応急処置したら、後に雨漏りするのは当たり前なんです。
落下危険が応急処置の最大デメリット
2F屋根の高さは地上約6~8メートルです。6~8メートルからの落下による地上への衝撃は、自動車の交通事故と同程度と言われています。
若い人の場合、脚や腕などの骨折なら、まだ回復できる可能性がありますが、老若男女問わず、頭部の怪我は決して甘く見てはいけません。
脳の後遺症は治療費云々の問題ではなく、あなたの人生そのものを台無しにしてしまいます。これが応急処置の最大デメリットです。
応急処置が別の雨漏りを発生させる
屋根の上で作業する際に絶対にやってはいけないことがいくつかあります。ここでは代表的なことを3つお伝えいたします。
① 屋根材にむやみにクギを打ってはいけない
特に棟部でありがちですが、棟板金(三角屋根の頂上部を包んでいる金属板)を固定するのに木部に間違った方向にクギを打ち込んだ場合、クギが木部を貫通してその下のスレートまで割ってしまい、そこから新たに雨漏りが発生します。
また瓦の下に敷いてある野地板(瓦やスレートの下に張る木の板)にも長いクギを打つと貫通することがあり、これも雨漏りの原因となります。
② 瓦の山(瓦で波型の頂上部)を踏んではダメ
瓦の山の下は大きな隙間があるため、体重を乗せると簡単に瓦が割れてしまいます。もちろん、そこから雨水が入り込み、雨漏りが発生することは言うまでもありません。
③ 雨水の経路に大量のコーキング(ペースト状のノリ)をしてはならない。
雨水の流れが変わり、他の箇所では雨漏りでの原因になります。雨漏りしている箇所だけに穴が開いているわけではありません。
今は雨漏りしていなくても、屋根には、あちらこちら穴が開いているものです。その穴が雨水の経路になると当然、新たに雨漏りがしてきます。
その他にもやってはいけないことはありますが、この3つだけでも気にしながら屋根上で応急処置することは経験豊富でないとできないでしょう。
無理に自分で雨漏りの応急処置をやると、その応急処置で別の雨漏りを発生させていることになります。
直ちに雨漏り業者を飛んで来させる3つの方法
ニュースで放映されるような台風被害で雨漏りが発生し、業者に電話しても「折り返し電話します」とだけ言われて、いつまで経っても連絡が来ないで、待ちぼうけにあったことはありませんか?もしくは何度電話しても電話口に出てこないことも…。
そんな問題も下記の3つの方法で解消されます。もし、今後大きな台風がやって来ると分かったときは、ぜひ試してみてください。
台風ニュースを観たらすぐに電話連絡をする
実際に問合せ電話が集中するのは、台風通過後、数日経ってからです。台風が来た曜日にもよりますが、通常、台風通過後の週末がもっとも問合せ電話が増加します。
その前に調査の予約をしておけば、約束の日時に調査をしてくれますし、雨漏り修理も混雑する前なので、早く工事も完了します。
仮に台風後に雨漏りしなくても屋根点検で安心ができて、まさに一石二鳥です。ニュースで台風情報を見たら、迷わず業者に電話しましょう。
5年に1度程度、屋根の定期点検を依頼する
屋根自体は普段目にすることがありませんので、ついつい点検を怠り気味になると思います。しかし、屋根は雨風を防いでくれる重要な住宅構造の1つです。
どこも壊れていないのに点検に来てもらうのは悪いと遠慮するのが最も悪いケースです。(見てもいないのに壊れていないといえますか?)もちろん、それは業者にとっても最悪のケースなのです。
雨漏り修理業者の仕事は屋根を点検・調査することから全てがはじまります。また定期的に屋根を見させていただくことによってその業者の売上も安定化します。
雨漏りがなくても定期点検をすることがあなたと業者をウィン-ウィンの関係になり、早く対応していただけます。
自宅から一番近い業者に依頼する
これは単純に業者所在地から現場(ご自宅)までの距離が近いと交通費や時間が節約できるので、優先的に調査・見積りを行なえる可能性が高くなるからです。
もちろん、あなたもそのように考え、一番近い業者に電話したほうがいいと判断されているでしょう。
ただし例外があります。それは業者の中にはその考えを逆手に取って、一番近いから他社にお客様を横取りされないだろうと気が緩み、結果的に雨漏り修理を後回しにされることがあります。
業者が応急処置だけをやりたがらない2つの理由
ちょっとだけ業者の立場になって、その心理を理解すれば応急処置をスムーズに進める手助けになるのではと思います。下記の理由は知っておいて、うまく業者を誘導しましょう。
料金が極端に低いから
応急処置だけだと、ほとんどが数万円程度の料金になります。一方、屋根の葺き替え工事だと100万円を超えることも多々あります。
その差は100倍になることもあるので、業者は応急処置だけはやりたがりません。
雨漏りが再発しクレーム率が高いから
応急処置の料金だと、雨漏りの原因調査はキチンとできません。経験と勘でコーキング補修をすることになります。
口頭で応急処置の場合「雨漏り保障はできませんよ」と伝えていても、はやり雨漏りが止まっていなければクレームが入ります。(お客様の立場になれば当然ですが…)その対応に追われ、通常業務に支障をきたす恐れがあるからです。
よくある質問
なぜ業者はすぐにきてくれないの?(お金を払うと言っているのに)
【回答】人手が足らないからです。
業者が中々、来ない原因は、主に台風被害や大雪被害で一気に問合せ電話や調査依頼が増加し、人手が足らなくなるからです。
屋根に上れる業者は、他のリフォーム修理業者(内装・水回り・クロス・電気など)の数と比べて極端に少ないのです。腕のいい真面目な屋根修理業者や雨漏り修理業者となるとさらに少なくなります。
やはり危険な高所作業を伴う業種は働き手が集まらないのです。また、職人は日給制が多いので、雨天時には現場に入れず、給料が減ってしまうのも職人が少ない原因です。
そのような人手が少ない状況で台風被害が発生すると、一斉に修理依頼が入り、職場がまるで蜂の巣を突いたような騒ぎになります。これはこの業界の永遠の課題といえます。
まとめ
どのようにして雨漏りの応急処置をすればいいのか、そしてどのぐらいの出費なるのか、また自分で応急処置をする場合のデメリットをご理解いただけたと思います。
今回の記事が応急処置をご自身で行なうか、業者に依頼するかの判断基準になれば、幸いです。