引っ越し時に必ず覚えておきたい!自分で敷金を返還させる全手法【保存版】

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敷金は全額戻ってくると予定していたのに不動産管理会社からの敷金返還の見積書を見て仰天していませんか?それとももうすぐ引越しなので、ちゃんと敷金が戻ってくるか心配になっているのではありませんか?

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、はっきりと通常使用の範囲内での劣化や汚れについての修理費・掃除費については基本的に貸主(大家)が負担すると明記されています。つまり、普通に生活をしている限り敷金は全額返還されるのです。

しかし、いまだに、修理費や掃除費、ハウスクリーニング代として敷金から差し引かれている場合がありますが、そのまま納得してはいけません!

そこで、今回はだれでも簡単に敷金を全額返還させる方法をお伝えします。もしも、納得のいかない負担があれば、この方法で全額敷金を取り戻しましょう。

敷金とは

敷金とは、家賃を滞納したり、部屋を異常に汚したり、壊したりした場合の修理費に充当するための「担保金」です。

通常、賃貸借契約時に預けます。注意して欲しい点は、敷金は商品やサービスを買って支払ったお金ではないということです。あくまでもあなたが預けているお金なのです。

知っておくべき5つのポイント

敷金を全額返還させるには、以下の5つのポイントを知っておく必要があります。まずはポイントに沿ってあなたの敷金が全額返還されるかどうかを判断しましょう。

敷金から差し引かれる名目

それは一般的に「修理費」「掃除費」と退去時の「ハウスクリーニング費」などがあります。しかし、これらは無条件で敷金から差し引かれるわけではありません。

特に「修理費」「掃除費」は通常の生活状態であれば、敷金から差し引かれてあなたが負担する義務はありません。

そのことは裁判所での判例が出ています。
http://www009.upp.so-net.ne.jp/law/siki007.html

故意or過失かどうかで決まる

先ほど無条件であなたが負担することはないと言いましたが、反対にそれは貸主側にも言えることなのです。

では「修理費」「掃除費」を貸主またはあなたのどちらが負担するかはその費用原因が故意・過失かどうかで決まります。

次項目では故意・過失かどうかの実例を載せていますので、ぜひ参考にしてください。

敷金全額返還ができる可能性がある実例

裁判所の判決では故意・過失になった実例です。次のような汚れや傷みであれば、あなたが負担する必要はないといえます。

 床の不具合

・自然光の変色による畳表替え

・フローリングのワックス

・通常使用による床抜け ※重量物によるものは駄目

天井の不具合

・ポスターなどの画びょうの穴

・軽度のタバコヤニによる変色

・長年使用によるクロス剥がれ

壁/柱の不具合

・テレビ・冷蔵庫後部の黒シミ

・自然光による壁紙の変色

・ポスターなどの日焼け跡

・エアコン設置による壁穴

・ポスターなどの画びょうの穴

・手垢によるシミ

設備/備品の不具合

・引越しに伴うカギ交換

・紫外線劣化した網戸交換

・地震等の気象によるガラス割れ

水回りの不具合

・キッチンやトイレ、フロの消臭消毒

・通常使用による排水詰まり

・通常使用による漏水

敷金の全額返還が難しい実例

しかし、この場合は敷金の全額返還は難しいでしょう。

床の不具合

・家具移動による畳やフローリングのキズ

・椅子や机によるフローリングのキズやヘコミ

・タバコによる焦げ跡

・飲食物放置によるシミ

 天井の不具合

・タバコのヤニによる変色

・キッチン天井の油汚れ

・釘やネジによる穴

壁/柱の不具合

・ペットが引っかいたキズ

・エアコン漏水を放置したことによる腐食

・タバコのヤニによる変色

・釘やネジによる穴

設備/備品の不具合

・ガラスの割れ

・網戸の破れ

・カギの紛失

・ドアのヘコミ

・障子紙の破れ

水回りの不具合

・フロやトイレの水垢

・キッチンの油汚れ

・フロやトイレのカビ

【ガイドライン概要】借主の原状回復義務(元に戻す義務)は、入居時と全く同じ状態に戻すという意味ではありません。賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、通常使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することとしています。

簡単に言いますと、通常の生活で消耗・劣化したものの修理費は貸主(大家)の費用負担であり、借主であるあなたが負担する必要はないということです。

参照元ガイドライン http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf

ハウスクリーニング代が一番の争点!

貸主と入居者であるあなたとの間で、最も大きな隔たりがあるのがハウスクリーニングです。退去時にしっかりと掃除をしたにも関わらず、敷金清算の見積書をみるとほとんどの場合、ハウスクリーニング代として数万円差し引かれています。

その理由は特約事項です。入居時の契約書には、ハウスクリーニング代は借主(あなた)が負担するという特約事項が書かれています。貸主側はこれを理由に敷金からハウスクリーニング代を差し引かせていただきますと主張してきます。

しかし、国土交通省のガイドラインで示されている通常の使用をされていて、キチンと通常の掃除をされていたのであれば、ハウスクリーニングの特約があってもその費用負担をしなくても済む可能性があります

退去時にしっかりと掃除をしてハウスクリーニングが不要と思われる場合は、不動産管理会社にその旨を伝え、ハウスクリーニング代の負担がなくなるよう交渉してみるのも手です。

敷金を返還させる4つの方法

ここまで書かれていた内容とあなたの部屋を比較してみて、明らかにガイドラインにそぐわない「修理費」「掃除費」と退去時の「ハウスクリーニング代」が差し引かれた見積書だったら、次の4段階の手順で行動をとりましょう。

直接、貸主/大家へ連絡する

最初に不動産管理会社へ連絡するのもいいと思いますが、私は直接、貸主(大家)への連絡することをおススメします!なぜならば不動産管理会社の怠慢がよくあるからです。

ようするに、いくら不動産管理会社に敷金の返還額が少ないと連絡しても肝心の貸主(大家)にはその連絡が全く届いていなく不動産管理会社が敷金をしれっとピンハネしていることがあるということです。

※貸主/大家の電話番号は入居時の契約書に必ず書かれています。

電話連絡の内容例

「太陽光によるクロス変色のための修理費○○円が敷金から差し引かれておりますが、国土交通省のガイドラインによれば、この場合は貸主側で負担すべきと指針が出ています。よって、この修理費を差し引かない○○円の返還をお願いいたします。」といった具合に話しましょう。

内容証明を提出する

内容証明とは「誰が、誰宛てに、いつ、その手紙の内容」を郵便局が公に証明してくれる手紙のことです。

  1. 手紙を出したこと
  2. 手紙を出した日付
  3. 手紙の内容

上記3つを郵便局が証明してくれます。郵便局が証明するのはその内容の手紙を送ったという事実であり、決してその手紙内容が真実であることを証明するものではありませんので、ご注意ください。

内容証明の効果として一番に考えられるものに精神的圧力があります。相手からみれば、見慣れない特別の郵便物が届き、何か法的な効果があるのかと思うかもしれません。

その結果、相手があなたの訴えを真摯に受け止め、敷金返還に繋がる可能性が高まると言えます。特に裁判所内の郵便局から発信されたものがその効果をより上げるようです。

敷金返還代行業者に依頼する

今、あなたが敷金の返還額に納得できていないように、全国には同じ境遇の方がたくさんいらっしゃいます。そこにビジネスチャンスを見出したのが敷金返還代行業者です。

私も以前依頼して、ほとんど手間や時間を掛けずに敷金を全額返還させることができました。おススメサイトを3つ紹介します。

サイト名 URL
敷金返還請求net http://www.alfaepoch.com/
敷金返還ホットラインセンター http://shikikin-hotline.com/
敷金ポリス http://www.geocities.jp/

少額訴訟を起こす

内容証明を送付しても敷金返還代行業者に依頼しても敷金が返還されない場合は、少額訴訟も1つの方法です。

訴訟というとなんだか難しそうで素人にはできないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。素人でもできるように簡素化された訴訟が少額訴訟なのですから。

内容証明の書き方と郵送方法

内容証明を書く前に全般的に気をつける点をお伝えします。

内容証明は、問題が解決できず裁判になったら証拠として力を発揮しますが、一度受取人に出した後にその内容を変更、訂正はできません。

よって内容証明の書き方は、関係のない事柄は書かず、あいまいな表現は一切使用せず、さらに簡潔で明確に書くことが基本です。あいさつなどの前置きは一切必要ありません。

そして、内容証明の中身と事実関係が一致しているかを十分に確認します。少しでも確認できないことがあれば必ず書き直しましょう。

もし、あいまいな表現や事実と異なることが書いてあると、逆に裁判のときに不利になる可能性が発生することもありますので、十分に気をつけましょう。

・用紙に指定はない。通常はA4サイズ、B4サイズ、B5サイズが使用されています。

・文字数は1枚520文字以内で、1行20字以内、1枚26行以内

・パソコン、手書きでもOK

・使用できる文字は日本語・数字・英語(固有名詞に限る)・記号(=%+-×÷など)

以下では、下記のひな形に沿って書き方を具体的にご説明します。

<433A5C55736572735C4C4F555C446F63756D656E74735C8E648E965C30897E8

ここをクリックするとダウンロード

賃貸借契約締結の事実と預けた敷金の金額

・契約年月日の明記。

・物件名の明記。

・契約締結の事実の記載。

・預けた敷金の金額。

※上記内容は賃貸借契約書に記載されている内容と全く同じにすること

賃貸借契約終了と敷金返還金額の見積書到着の通知

・契約終了の日付の明記。

・見積書を受け取った日付の明記。

・敷金から差し引かれる予定の金額の明記。

私が負担すべき費用

・見積書の内容で、国土交通省のガイドラインに反している項目を箇条書きで全て記入。

 具体的な箇条書き例/壁クロス修理費用返還請求

・貴殿は敷金返還の見積書に書かれているように、壁クロスの修理費用◯万円を私に負担させようとされていますが、しかし国土交通省のガイドラインの指針では太陽光が原因による壁クロスの変色や劣化は、貸主が修理費用を負担すると謳われています。

そのため私には壁クロスの修理費用として◯万円を敷金から差し引かれることを了承できません。

具体的な箇条書き例/クリーニング代返還請求

・私は退去時に通常の基本的クリーニングは済ませており、原状回復義務は果たしおります。したがってプロの清掃業者を入れるかどうかは、あくまで貸し主様の都合によるものですので、清掃業者に支払う費用は当方が負担すべきものではありません。

したがいまして、私にはクリーニング費用○万円を負担する義務はありません。

私が返還請求する金額

・返還請求する金額の明記。

・返還先銀行口座の詳細。(銀行名、支店名、口座種類、口座番号、口座名義)

・返還期日の年月日の明記

・期限内に返還請求金額を支払わない場合には少額訴訟へ移行することを記入。

差出予定の郵便局へ行く

内容証明を差し出すことのできる郵便局は、集配郵便局及び支社が指定した郵便局のみです。その他の郵便局ではできませんので、前もって差出予定の郵便局へ電話で確認を取りましょう。

郵便窓口にて下記のものを提出

・手紙(通知書)3通 ※内容は全く同じもの

・封筒1通 ※差出人及び受取人の住所氏名を記載したもの

・印鑑

・内容証明の加算料金を含む利用料金

利用料金

総額:およそ¥1,300~¥2,000

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少額訴訟で敷金を返還させる方法

少額訴訟とは、従来の裁判では、訴訟を起こしても費用や時間が掛かり、仮に裁判で勝っても割に合わず、結局裁判そのものを起こすのをあきらめざるを得ませんでした。

それを解消するために平成10年に新しい裁判手続きである「少額訴訟」ができたのです。60万円以下の金銭請求に限られますが、通常訴訟で必要な専門的な法律知識も不要です。

訴状を出してから1~2カ月後に審理が開かれ、原則1回で判決が出ますので、通常訴訟より短期間で敷金を取り戻すことができます。

誰でも気軽にできる裁判手続として、全国の簡易裁判所で年間計8,000件以上の訴訟があります。次のポイントを知っておけば、必ずあなたにも少額訴訟はできるはずです。

少額訴訟の流れ

訴状の作成

訴状を裁判所に提出

審理期日の決定

裁判所の書記官からの指示

相手からの書類があれば受取り

裁判所で審理を行う

判決

訴状の準備

まずは下記より訴状書類(2枚)をダウンロードしてください。その訴状書類に沿って書き方を説明します。

訴状書類ダウンロード

原告(申立人)

あなたの氏名・住所・TEL・FAXを記入。裁判所からの書類を住所以外で受取る場合は送達場所等の届出に別途記入。

被告(相手方)

相手方の氏名・住所・TEL・FAXを記入。※相手方が会社の場合、全部事項証明書に記載されている通りに記入。

請求の趣旨

あなたが返還して欲しい金額と、退去した日を記載または訴状送達の日の翌日のどちらかを選ぶ。さらに「及び仮執行の宣言」の前にレ点でチェックを入れる。

紛争の要点(請求の原因)

賃貸借契約締結の年月日・物件名・賃貸期間・1か月分の賃料・預けた敷金金額・賃貸借契約終了日・物件を明け渡した日を記入。

その他の参考事項として、あなたの主張と貸主(大家)の主張が異なる詳細を記入。スペースの都合で書けない場合は、「別紙の通り」と記載し、別紙に詳細を記入記載。

【その他の参考事項:記入例①】

貴殿は敷金返還の見積書に書かれているように、壁クロスの修理費用◯万円を私に負担させようとされていますが、しかし国土交通省のガイドラインの指針では太陽光が原因による壁クロスの変色や劣化は、貸主が修理費用を負担すると謳われています。そのため私には壁クロスの修理費用として◯万円を敷金から差し引かれることを了承できません。

【その他の参考事項:記入例②】

私は退去時に通常の基本的クリーニングは済ませており、原状回復義務は果たしおります。したがってプロの清掃業者を入れるかどうかは、あくまで貸し主様の都合によるものですので、清掃業者に支払う費用は当方が負担すべきものではありません。したがいまして、私にはクリーニング費用○万円を負担する義務はありません。

ちなみに、裁判所ホームページに少額訴訟の訴状記入例がありますので、参考にしてみてください。http://www.courts.go.jp/saiban/

証拠書類の準備

証拠書類は、審理の判決に大きく影響されますので、しっかりと準備しましょう。また、審理は原則1回限りですので、期日までに下記のものをキチンと揃えておきましょう。

・賃貸借契約書

・敷金返還額の見積書

・全部事項証明書 ※相手が法人である場合のみ

・退去時のハウスクリーニング代や修理費・掃除費の負担で争点になっている箇所の写真

提訴

提起とは、裁判所に訴状を提出することです。その裁判所は原則として,相手の住所地を管轄する簡易裁判所になります。その裁判所に行き、窓口に少額訴訟はどこで受け付けていますかと聞けば、どこに訴状や証拠書類を提出すればいいかを教えていただけます。

相手の所轄裁判所の連絡先・所在地を知りたい方はこちらをご覧ください。
http://www.courts.go.jp/saiban/

少額訴訟に必要な費用

収入印紙

申立手数料として、請求金額の約1%の額の収入印紙を訴状に貼ります。
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郵便切手

約3,000円~5,000円程度ですが、管轄の裁判所によって異なります。この切手は裁判所からの訴状、呼出状、判決の送付などに使用されます。

全部事項証明書の取得手数料

600円 ※相手が法人の場合のみ必要

まとめ

この記事を読まれていかがでしたでしょうか。記事の書かれていることを一つ一つ着実に実行していけば、必ず今よりも負担額が少なくなり、より多くの敷金が戻ってきます。

そのお金は、今後引越しでなんかと物入りになるので、非常に助かるのでは。この記事を読んでよかったと思っていただければ幸いです。

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PR編集部

すべての人にとって大切な住居。その屋根を修理するのに、助成金を利用するのは当然の権利であり、誰もがきちんと利用するべきだ。私たちはその事実を広めるお手伝いをしたいと考えています。

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