打ち合わせで、建築士に最初から提示された屋根の形で後悔しないかって、漠然と思っていませんか?思い出してください!打ち合わせ中にほとんど屋根の形に関する話題はなかったのでは?
間取りや水回り、床など内装は自由に選んだけど、屋根の形は…。でも実は屋根の形も選べるのです!話題にならないので、ついつい遠慮気味になりますが、勇気を出して建築士に相談するべきです。
しかし希望の形を相談するには、あなたにも形ごとの基本的な特徴やメリット、デメリットを知っておく必要があります。今日は、そんなあなたのために代表的な屋根の8形状を挙げてみました。
屋根の形
ここでは、代表的な8種類の形をお伝えします。メリット・デメリットを踏まえて、ぜひ参考にしてください。
切妻屋根(きりづまやね)
特徴
現在、日本で最も多い屋根の形です。三角屋根と聞いたら、すぐに頭に浮かんでくる形が切妻屋根です。和風、洋風のどちらの住宅にもマッチします。
メリット
構造が単純なので安価です。同様の理由で雨漏りもしにくい。
デメリット
屋根面が東西向きの場合、太陽光パネルの発電効率が悪い。
寄棟屋根(よせむねやね)
特徴
4方向から屋根面を寄せて支え合っているので、耐風性は一番強いといわれている。切妻屋根と並んで人気がある。和風、洋風のどちらの住宅にもマッチします。
メリット
台風時などに一番強いといわれ、耐久性が高い。
デメリット
棟部分が少し複雑なため、雨漏りの可能性が高まる。
片流れ屋根(かたながれやね)
特徴
近年、人気上昇中の形です。特に敷地の狭い住宅で積極的に採用されています。シャープな屋根頂上が特徴的で洋風住宅によく似合います。
メリット
構造が単純なので安価です。同様の理由で雨漏りもしにくい。デザイン性が高い。2F屋根裏に広いスペースが確保しやすい。
デメリット
屋根面が北向きの場合、太陽光パネルが付けられない。1面で受ける雨量が多いので、大きな雨樋が必須。
陸屋根(ろくやね・りくやね)
特徴
水平な形で、屋上がある屋根です。木造住宅ではまず採用されることはありません。どうしても陸屋根を希望される方は、鉄筋コンクリート住宅にするほうがいいでしょう。
メリット
屋上スペースを有効に使える。
デメリット
雨漏りの可能性が大変高まる。太陽光パネルを設置する際は、追加費用で角度をつける必要がある。
入母屋屋根(いりもややね)
特徴
昔から日本にある伝統的な形です。圧倒的に瓦作りの屋根に多いのです。まれにスレート屋根でもこの形が採用されていますが、和風住宅にはピッタリです。
メリット
屋根裏の通気性や断熱性が高い。4面から構成されているので耐風性も高い。重厚感がある。
デメリット
修理をする際は、取り合い部分が多く高い技術が必要でその費用が高くなる。
方形屋根(ほうぎょうやね)
特徴
正方形に近い住宅でよく見かけるピラミッド型の屋根形状です。屋根の頂上が線ではなく、点になっているのが大きな特徴です。
メリット
4面から構成されているので耐風性が高い。
デメリット
棟が4本あるので、雨漏りの危険が高まる。それぞれの屋根面が狭いので太陽光パネルの設置には不向き。
招き屋根(まねきやね)
特徴
差しかけ屋根(さしかけやね)ともいいます。2面の屋根面が段違いになっているのが特徴的です。現在、最適な屋根の形といわれています。
メリット
太陽光パネルの設置角度と屋根角度(勾配)が一致している。2F屋根裏にスペースが確保できる。
2面の屋根に段違いで支え合っているので、切妻屋根より耐風性は高い。施工費用も比較的安い。屋根裏の通気性や断熱性が高い
デメリット
雨仕舞いをしっかりと行なわないと雨漏り発生リスクが高くなる。
はかま腰屋根(はかまこしやね)
特徴
切妻屋根の棟を一部切り取った形をした屋根です。道路斜線制限に引っかかった場合にこの形にして制限内に収まるようにします。
※道路斜線制限については次項目で詳しく説明します。
メリット
道路斜線制限によって間取り変更や室内が狭くなることがなくなります。
デメリット
切妻屋根と比べて棟が少し複雑になるので、雨漏りが発生しやすくなる。
屋根の形には4つの制限がある
実は、自分の家だからといっても屋根を100%自由な形にできるわけではありません。
日本には建築基準法という「国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律」(出典:ウィキペディア)があります。
とりわけ、以下の4つの法規が屋根の形を制限しています。
隣地斜線制限とは
隣地の日当たりや風通しの良さを確保するための法規です。隣地の境界線からの距離によって屋根の高さと勾配(角度)が制限されています。
詳しく知りたい方は、http://chumon-jutaku.jp/をご覧ください。
絶対高さ制限とは
第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域では、建物(屋根も含む)の高さは10mまたは12mまでしなければならないという法規です。
その他の地域では絶対高さ制限はありません。気になる方は、http://www.token.co.jp/をお読みください。
北側斜線制限とは
北側隣地の日照を最低限確保するための法規です。北側隣地の境界線からの距離によって屋根の高さと勾配(角度)が制限されています。
住宅予定地の北側に隣家がある方は、http://chumon-jutaku.jp/で詳しく説明しています。
道路斜線制限とは
道路自体の採光や風通り、見通しを確保するために、道路接地に面する建物の一定部分を高さ制限する法規です。これにより同時に周辺建物の採光や風通りもよくなります。
より詳しい説明が必要な方はhttp://chumon-jutaku.jp/をご覧ください。
建築士に相談する3つのタイミング
屋根の形の要望は、建築士との打ち合わせ中であればいつでも相談することは可能ですが、やはり早めに相談するほうがいいでしょう。
この記事を読まれているあなたが家づくりに向けてどの段階なのか不明なので、3つのタイミングに分けてお伝えします。
設計監理契約前
設計監理契約前、つまりこの建築士(ハウスメーカー)で家を建てると決める前がベストのタイミングです。
この段階では、まだ設計は全くの白紙状態ですので、何の遠慮もなく建築士にあなたが描いている屋根の形を伝えましょう。
基本設計時
基本設計時はベターなタイミングです。基本設計とは、建築士が数パターンの基本的な平面図や断面図、模型等を作成することです。
その時にイメージと合わない屋根形状であれば無料で変更は可能です。建築士はあなたの要望を形にするのが仕事です。良心的な建築士であれば笑顔で対応してくれるはずです。
施工業者への見積り前
この施工業者への見積り前が、ギリギリのタイミングです。ここまでに、かなり細かいところまで打ち合わせをしているので、もう一度、再設計させるのは気が引けると思われるかもしれません。
しましあなたが一生住むかもしれない家です。「遠慮は一瞬、後悔は一生」です。思い切って建築士に相談しましょう。※このタイミングでは、追加費用を請求される場合があります。
よく耳にする後悔の話
特に大手ハウスメーカーで家を建てられる場合は、設計監理契約後に変更要望がうまくできず、ハウスメーカーのペースで家が建てられ、後悔されているケースが多いと聞きます。
また一番後悔するのは、いきなり建築士任せにすることです。まれに建築士任せでもうまくいく例もありますが、それはたまたま、あなたと建築士の趣向やセンスが似てて相性がよかったに過ぎません。
後悔しないコツは、設計監理契約前に何度も打ち合わせをして建築士との相性を確かめてから契約することです。そうすれば、屋根の形もあなたの要望に近いものになるでしょう。
まとめ
この記事に書かれているように一部、法律によって制限があるものの、基本的に屋根の形は自分で選ぶことができます。
屋根の形によって、住まいの印象は随分異なってくることもあるので後悔しないために、ぜひ建築士に相談してみましょう!良心的な建築士であれば、必ず応えていただけます!